「給与だけでは将来が不安」「FIRE(経済的自立&早期リタイア)を目指したい」
そんな方にこそおすすめしたいのが配当株投資です。
配当株とは、株主に対して定期的に配当金を支払う企業の株式のこと。毎年安定的なキャッシュフローを得られるため、働かなくても収入が入る仕組みを構築できます。
特に、長期保有を前提にすれば、株価の変動に一喜一憂せず、心の安定も得られるのが魅力です。
配当株投資とは?今なぜ注目されているのか
株式投資といえば「キャピタルゲイン(売却益)」を狙うものと思われがちですが、実は多くの投資家が「インカムゲイン(配当金)」に注目しています。特に以下のような方には、配当株投資が圧倒的におすすめです。
- 本業の収入+副収入を得たいサラリーマン
- 早期リタイアを目指すFIRE志向の方
- リスクを抑えて安定的に資産を育てたい人
配当株投資の魅力は、株を保有するだけで毎年安定した現金収入(配当金)を得られること。しかも銘柄選定を間違えなければ、10年、20年とほったらかしでお金が入る仕組みを作れます。
配当株に向いている企業の選び方
配当金を安定して得るには、「どの企業に投資するか?」が極めて重要。以下の視点を押さえておくと、失敗しづらい配当株選びが可能になります。
- 参入障壁が高い業種から選ぶ
- 稼ぐ力の強い企業を選ぶ
- ストック型ビジネスの企業を選ぶ
- 増配・累進配当の実績がある企業を選ぶ
- 中期経営計画で成長が期待でき株主還元に積極的な企業を選ぶ
高配当株を選ぶうえで最も大切なのが、安定して利益を出し続けていて、株主還元に積極的な企業を選ぶことです。
参入障壁が高い業種から選ぶ

安定して利益を出し続ける企業の条件として、参入障壁が高く、競争が起こりにくい業種に注目します。参入障壁が高い業種は、他の企業の参入が難しくなるため、毎年しっかりと利益を出しやすいです。
こうした参入障壁が高い業種の代表格は、次の3業種です。
- 銀行・金融
- 保険
- 通信キャリア
これらの業種は、新規参入が難しく、安定した売上と収益を維持しやすいことから、長期の配当株投資に最適です。
稼ぐ力の強い企業を選ぶ
参入障壁が高い業種の中で稼ぐ力の強い企業は、その業種の上位の企業です。業種の1位と2位の企業がいいでしょう。3位の企業でも、シェアが30%以上あれば十分に強みを持つ企業で、投資対象になります。
① 銀行・金融
- 第1位 三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
- 第2位 三井住友フィナンシャルグループ(8316)
② 保険
- 第1位 東京海上ホールディングス(8766)
③ 通信キャリア
- 第1位 日本電信電話(NTT)(9432)
- 第2位 KDDI(9433)
- 第3位 ソフトバンク(9434)
配当株投資で着実に成果を手に入れていくためには、早い段階でしっかりとした地盤を築いておくことが大切です。その地盤の基礎となるのが、大型株です。
最初に大型株を買い進めていけば、配当金が積み上がるだけでなく、精神的にも余裕が出てきます。株価の動向に振り回されたり、あれこれと銘柄を買い換えず、ゆったりとした気持ちで取り組むことが長期投資には不可欠です。
ストック型ビジネスの企業を選ぶ

参入障壁が高い業種として挙げた3業種には、もうひとつの共通点があります。すべてストック型ビジネスという点です。ストック型ビジネスとは、一度契約をしてしまえば、その契約が終わるまで、継続して売り上げを得られるタイプのビジネスです。
ストック型ビジネスは利益を積み上げていくことができ、業績が見通しやすく安定している特徴があります。このような企業は配当金を積み上げていきやすく、長期投資に適しています。
増配・累進配当の実績がある企業を選ぶ

配当株投資で着実に資産を増やしていくためには、増配している企業を選んで、そこに集中的に投資していくことが重要です。
まずはこれまでの配当金の推移をチェックします。ここでチェックする項目は3つあります。
- 1株当たり利益はどう推移しているか?
- 配当金は上昇しているか?
- 配当性向の水準は?
1株当たり利益がなければ、企業は配当を出すことができません。配当を増やし続けるためには、1株当たり利益が増加し続けていなければなりません。
その上で、配当金が増加しているかチェックします。1株当たり利益と同程度の増加率で配当金が増加しているのがベストです。その企業の株主還元方針をチェックできます。
次に配当性向をチェックします。配当性向が低ければ、まだ増配できる余地もあります。逆に配当性向が高すぎると、将来的に配当の継続の可能性が減ってしまいます。一般的に配当性向は30〜40%程度の企業が多いので、この水準を一応の目安とします。
中期経営計画で成長が期待でき株主還元に積極的な企業を選ぶ
企業が発表する中期経営計画の中の株主還元方針・配当方針を確認すれば、この先3年くらいの配当金を予想することができます。
配当金だけでなく、その企業がどのようにして成長していこうと考えているかを確認することも重要です。
有望銘柄11選
配当株の有望な投資対象となる大型株ついて、特徴や魅力、株主還元方針などを詳しく説明します。
三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)
三菱UFJフィナンシャル・グループは、メガバンクの三菱UFJ銀行や三菱UFJ信託銀行、三菱UFJモルガン・スタンレー証券などを傘下に持つ国内最大の金融グループです。
アメリカの大手証券モルガン・スタンレーに出資して、持ち分法適用会社にして以降、アメリカを拠点に金融ビジネスのグローバル展開を加速させています。
金融株の場合、他の業種に見られるような利益の急増はありませんが、着実に多くの利益を上げておりますから、株価にとらわれずに10年さらには20年くらい持ち続ける銘柄としては、非常に適していると見ています。
三菱UFJフィナンシャル・グループはIRページで「配当性向を40%程度とし、利益成長を通じた1株当たり配当金の安定的・持続的な増加を基本方針とする」と表明しています。
配当金は2009年以降減配無しで右肩上がりを継続しています。

三井住友フィナンシャルグループ(8316)
三井住友フィナンシャルグループは、三菱UFJと同じように、一傘下に三井住友銀行や三井住友カード、SMBC日興証券などを有する持株会社で、銀行業種のナンバー2です。
三井住友フィナンシャルグループはIRページで「累進的配当方針および配当性向40%を維持し、ボトムライン収益の成長を通じて増配を実現してまいります」と表明しています。
配当金は2009年以降減配無しで右肩上がりを継続しています。

三菱商事(8058)
累進配当を続ける総合商社のナンバー1企業
三菱商事は世界中に資源権益を持ち、ローソンなどの優良な子会社を数多く抱えた日本を代表する総合商社です。三菱商事は資源権益を持つため、景気の動向によって業績が大きく左右される景気敏感株とみなされます。
三菱商事は株主還元情報ページで「経営戦略2027においても、累進配当の方針を継続致します」と表明しています。
配当金は2016年以降減配無しで右肩上がりを継続しています。

伊藤忠商事(8001)
伊藤忠商事は、この10年で最も成長した総合商社です。連結利益金額や時価総額で業種トップの数字を叩き出して、三井物産を猛追して商社界の第2位に躍り出ました。
伊藤忠商事の特徴は、繊維機械などの海外トレード(商流)といった非資源業を主力としていることです。とくに、中国関連事業に圧倒的な強みを持っていて、黒字を堅持できるビジネスを数多く手がけています。他総合商社が会計処理の赤字の時にも、しっかりと黒字を堅持できているしぶとさと安定感がある企業です。
伊藤忠商事は株主還元方針ページで「配当性向は50%を目途とする」と表明しています。2025年度においては、配当は1株当たり200円下限または配当性向30%のいずれか高い方、自己株式取得は約1,700億円と、株主還元方針を明確に示しています。
配当金は10年以上、減配無しで右肩上がりを継続しています。

東京海上ホールディングス(8766)
東京海上ホールディングスは、損保業種のトップ企業です。MS&ADホールディングスやSOMPOホールディングスと共に、3大損保に位置していますが、その収益力はダントツで飛び抜けており、1強の状態が続いています。
損保業種の強みはストック型ビジネスであることです。それに加えて、東京海上は積極的なM&Aによって、事業の海外展開を進めており、安定的に利益を上げています。
東京海上ホールディングスは配当方針・還元のページにおいて「配当を株主還元の基本と位置付け、利益成長に応じて持続的に高める方針」と表明しています。
配当金は10年以上、減配無しで右肩上がりを継続しています。

日本電信電話(NTT)(9432)
NTTは、国内通信キャリア最大手のNo.1企業です。2020年にNTTドコモを完全子会社化しており、ほかにもNTTコミュニケーションズ、NTTデータなどの優秀な子会社を傘下に持って、安定した経営を維持しています。
通信業種では、ストック型ビジネスの典型です。近頃は電話などの音声サービスに代わって、ロードバンド回線によるネット収益源となっており、稼ぐ力が極端に落ちる可能性は低いといえます。
NTTは株主還元のページにおいて「継続的な増配の実施を基本的な考え方とし、自己株式取得についても機動的に実施することで資本効率の向上を図っております」と表明しています。
配当金は13年間、減配無しで右肩上がりを継続しています。

KDDI(9433)
KDDIは、NTTに次ぐ、国内第2位の総合通信企業です。auの安定的なモバイル事業だけでなく、auカブコム証券など、非通信ビジネスの分野にも積極的に取り組んでいます。
NTTは国が大株主のため認可制など様々な制約に縛られていますが、KDDIには軽快なフットワークで様々な事業ができるという強みがあります。
KDDIは2023~2025年度の中期経営計画において、「株主還元強化(配当性向40%超、機動的な自己株式取得)を引き続き強化していく」と発表しています。
配当金は2025年度で24期連続増配となります。

ソフトバンク(9434)
ソフトバンクは、2018年12月に上場した3大通信キャリアの一角を占める企業です。ソフトバンクグループ(9984)の子会社です。
ソフトバンクは投資家情報ページにおいて、「中長期的に企業価値を高めるとともに、株主の皆さまに利益を還元していくことを重要な経営課題の一つとして位置付けています」と発表しています。
ソフトバンクは上場以来安定して高配当を続けています。親会社のソフトバンクグループにとって安定した収入源になっているため、今後も高配当は続くと考えられます。ただし、配当性向が80%を超えているため、増配余地は少ないです。

オリックス(8591)
オリックスはその他金融業の業種に入る多角的経営企業のトップランナーです。パソコンやコピー機などの法人向けリースはじめ、金融や保険、レンタカー事業など、多様な業種を展開しています。
オリックスは配当方針・配当状況のページで、「業績を反映した安定的かつ継続的な配当を実施いたします」と表明しています。また、2026年3月期の配当予想については、配当性向39%もしくは1株当たり配当金120.01円のいずれか高い方とすると明確に発表しています。
配当金は10年以上、減配無しで右肩上がりを継続しています。

キヤノン(7751)
キヤノンは、カメラやビデオといった映像機器、プリンターや複合機をはじめとする事務機器、デジタルマルチメディア機器、さらには半導体露光装置などを手がける精密機器メーカーです。
プリンター事業の積極的な成長は見込みづらいですが、メディカル事業やネットワークカメラ事業は好調です。
キヤノンは株主還元・配当のページで、「連結配当性向40%以上を目途に、中期的な利益見通し・投資計画に加え、そこから生み出されるキャッシュ・フロー等を総合的に勘案し、配当を実施する」と表明しています。
配当金は10年以上、減配無しで右肩上がりを継続しています。

日本たばこ産業(JT)(2914)
JTは、日本国内でたばこを製造している企業です。国内シェアは約60%を占めており、積極的なM&Aによる海外進出によって、喫煙人口の多い新興国でのシェアも大幅に拡大させている世界3位のたばこメーカーでもあります。
たばこの国内市場は縮小傾向ですが、JTの営業利益の70%以上が海外のたばこ事業によるもので、発展途上国ではまだまだニーズがあります。たばこは嗜好品ですから、業績の変動率は低いです。
JTは株主還元方針・配当のページで、「配当性向75%を目安」と表明しています。
配当金は10年以上、減配無しで右肩上がりを継続しています。

推奨書籍
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まとめ
本記事は、安定した収入源を求めるサラリーマンやFIRE志向の方に向けて、配当株投資の魅力・銘柄の選び方・おすすめ銘柄を解説した内容です。特に、長期保有による資産形成に重きを置いた実践的な指南が中心です。
配当株投資の魅力
- 株価の上下に関係なく、定期的な配当収入(インカムゲイン)が得られる
- 長期保有によって、配当の積み上げ+心の安定が得られる
- 給与+副収入による生活の安定や、FIRE実現にもつながる
優良な配当株を選ぶ5つの基準
- 参入障壁が高い業種(銀行・金融・保険・通信など)
- 稼ぐ力のある企業(業種内の上位企業)
- ストック型ビジネス(継続課金・契約系)
- 増配・累進配当の実績
- 中期経営計画での株主還元方針が明確
また、おすすめの高配当銘柄を紹介し、初心者の方でもすぐに配当株投資を実践できるようにしました。