
信託報酬は少ないほどいいっていうけど、実際のところどのくらい影響があるの?

計算して確認してみよう!
信託報酬が複利の力の邪魔をする!
投資信託は手軽に分散投資ができる便利な金融商品です。しかし、この便利さの裏側には投資期間中に日々かかる信託報酬という手数料が存在します。
一般的に、株式への投資は毎年平均して6~7%のリターンが期待できますが、信託報酬の分だけ実際のリターンは確実に下がります。
投資資金をリターンの複利で雪だるま式に増やしていくことは、資産を築く上で最も重要なポイント。この複利効果にブレーキをかける信託報酬は、まさに資産形成の敵と言えるでしょう。
では、実際に信託報酬は、私たちの将来の資産にどの程度の影響を与えるのでしょうか?
信託報酬の差が投資信託のリターンに与える影響をシミュレーションするツール
信託報酬シミュレーション
全世界株を対象とするインデックス運用の投資信託に、100万円を投資したと仮定します。リターンは6%、運用年数は20年という前提で、信託報酬に差がある6本のファンドを比較した結果がこちらです。
| 信託報酬 | 20年後の残高 | ファンドAとの差額 | |
| ファンドA | 0.05% | 3,177,015 円 | – |
| ファンドB | 0.10% | 3,147,163 円 | 29,852 円 |
| ファンドC | 0.15% | 3,117,577 円 | 59,438 円 |
| ファンドD | 0.20% | 3,088,256 円 | 88,759 円 |
| ファンドE | 0.30% | 3,030,399 円 | 146,616 円 |
| ファンドF | 0.50% | 2,917,757 円 | 259,258 円 |
結果から見えてくること
- ファンドA(0.05%)とファンドB(0.10%):信託報酬の差0.05%で、20年後の利益は約3万円の差。20年後の残高約300万円に対して1%程度の差なので、まだ許容できると感じるかもしれません。
- ファンドA(0.05%)とファンドF(0.50%):信託報酬の差0.45%で、利益の差はなんと約26万円!これは20年後の残高約300万円に対して約8.6%にもなる、無視できない大きな差です。
信託報酬のわずかな差が、長期の運用と複利効果によって、将来的に数十万円という大きな差を生み出すことが確認できました。特に、投資期間が長くなるほど、この差はさらに拡大していきます。
信託報酬の低い投資信託に乗り換えるべき?
今積み立てている投資信託より信託報酬の低い投資信託を見つけた場合、どうするのがベストでしょうか?
■事例
これまで投資信託(旧)を積み立てていたが、信託報酬の低い投資信託(新)を見つけた。
この事例では対応方法が2パターンあります。
- 対応方法①「新規だけ乗り換え」:これまで買っていた投資信託(旧)は持ち続け、次から積み立てるのは投資信託(新)にする。
- 対応方法②「すべて乗り換え」:これまで買っていた投資信託(旧)はすべて売却して投資信託(新)に乗り換え、次から積み立てるのも投資信託(新)にする。

ケースバイケースですが、判断のポイントは以下の3つです。
- 信託報酬の差
- 投資信託(旧)の含み益の大きさ
- 資産額の大きさ
乗り換え判断の目安
| 条件 | 対応方法 | |
| 信託報酬の差 | 0.05%程度以下の場合 | 新規だけ乗り換え |
| 0.20%程度以上の場合 | すべて乗り換え | |
| 投資信託(旧)の 売却時の税金 | 高額になる場合 | 新規だけ乗り換え |
| ゼロか小額の場合 | すべて乗り換え | |
| 資産額の大きさ | およそ1,000万未満の場合 | 新規だけ乗り換え |
| およそ1,000万以上の場合 | すべて乗り換え | |
乗り換えのデメリット
信託報酬の差が小さい場合は、無理にすべて乗り換える必要はありません。なぜなら、投資信託を乗り換える際には、いくつかのデメリットがあるからです。
- 利益確定に伴う税金: もし旧ファンドに利益が出ていた場合、売却するとその利益に対して約20%の税金を支払う必要があります。この税金で、新しいファンドを購入する資金が目減りしてしまいます。
- その他の手数料: 売却時に信託財産留保額、購入時に購入時手数料が必要になるファンドもあります。どちらも無い投資信託も多いですが、確認が必要です。
- NISA投資枠の減少: NISA枠で購入した投資信託を売却すると、NISA枠が減ります。これから時間をかけてNISA枠の投資資金を元通り増やしていくことになります。
いい投資信託を見つけると乗り換えたくなりますが、乗り換えた場合のデメリットも考慮して判断しましょう。このブログで紹介したシミュレーションツールを活用し、あなた自身の資産状況に合わせて最適な選択をしてください。
